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窓(サッシ)等 開口部の断熱性能について

皆様のお住まい(家)には窓(サッシなどの開口部 玄関ドアなども含む)と呼ばれるものが取付けてあると思いますが、窓についての種類・断熱性能などについてふれてみたいと思います。

 

窓には、「ガラス」とその「ガラスを取付ける為に必要な枠材」とがひとつとなって「窓」と呼ばれておりますが、「ガラス」にも「ガラスを取付ける為に必要な枠材」にも、それぞれ性能があります。

性能という言葉で表すとなにやらむずかしいお話に思えるかも知れませんが、実はこの性能こそが皆様のお住まいの「光熱費」や「生活環境」に大きく影響を与えてしまう部分だということを知っていただきたいと思います。


1-窓ガラスの性能

窓ガラス等の性能を示すひとつの値として、「熱貫流率(K値またはU値)(単位はW/㎡K)」と呼ばれているものがあります。

※「熱貫流率」の値は小さいほど断熱性に優れている。

一般的な住まい(家)に昔からよく採用されていた、「グラスウール断熱10K品」の100ミリ厚さの熱貫流率はおおよそ[0.5W/㎡K]なのですが、単板ガラス3ミリ厚さの熱貫流率は[6.0W/㎡K]ですので、一般的な住まいの壁から逃げている熱のおおよそ12倍の熱が窓ガラスから逃げているということになります。

下記の表に主な窓ガラスの熱貫流率をまとめてみましたので参考にしてください(ガラスメーカーにより公表されているデータを引用)。

ガラスの種類
熱貫流率(W/㎡K)
単板ガラス(3ミリ) 6.0W/㎡K
複層ガラス(3ミリ+A12+3ミリ) 2.9W/㎡K
高断熱複層ガラス(3ミリ+A12+Low-E3ミリ) 1.6~1.8W/㎡K
高断熱トリプルガラス(アルゴンガス入り)(Low-E3ミリ+A9+3ミリ+A9+Low-E3ミリ) 0.9W/㎡K

熱が逃げてしまう大きさの比較として「グラスウール断熱10K品」の100ミリ厚さの場合と、単板ガラス3ミリ厚さとの比較をお話いたしましたが、「複層ガラス」と比較をした場合、単板ガラスの場合にはおおよそ12倍熱が逃げやすいとなっていたものが、その半分(5.8倍)しか熱が逃げない計算となります。

また、高断熱複層ガラスにした場合では、「グラスウール断熱10K品」の100ミリ厚さに比べて、おおよそ3.8倍熱が逃げやすいと計算できます。

一般的に、断熱の性能を示す値として「熱伝導率」の値の大きさを比較対象する事で、住まいの断熱性能(高断熱性)を示す場合がありますが、実際に施工する断熱材の種類や厚さなどによって表されている値である「熱貫流率」や「熱抵抗値」をもとに示す事がとても大事なこととなります。


2-窓ガラス+窓ガラス枠材の性能

住まい(家)に窓を施工する際には、ガラスだけではなくそのガラスを取付ける為に必要な枠材と一体となったものを施工することになりますので、それらを合わせて窓(サッシ)と呼ばれています。

窓(サッシ)のガラスを取付けるための枠材には、大きく分けて4種類ほどの枠材があり、①オールアルミ製の製品、②外部側がアルミ製で室内側が樹脂製の製品、③オール樹脂製の製品、④オール木製の製品、などにそれぞれが分けられます。 これらの各種枠材に各種類のガラスが組込まれてひとつの性能を示すことが出来る窓になるわけなのですが、窓ガラスど同様に熱貫流率」にてその性能を示すことが出来ます。

下記の表に窓(窓ガラス+窓ガラス枠材)の熱貫流率をまとめてみましたので参考にしてください(サッシメーカーにより公表されているデータを引用)。

※比べやすくする為に窓ガラスは全て複層ガラスとしています。

窓種類
熱貫流率
窓断熱性能等級
オールアルミ製窓※複層ガラス(3ミリ+A12+3ミリ) 4.07W/㎡K H-2等級
アルミ+樹脂複合窓※複層ガラス(3ミリ+A12+3ミリ) 3.49W/㎡K H-3等級相当
オール樹脂製窓※複層ガラス(3ミリ+A12+3ミリ) 2.91W/㎡K H-4等級相当

上記表からも分かるのは「窓ガラス」だけではなく、「窓ガラス枠材」の種類などによって性能が大きく左右されてしまうという事実です。

ご当地秋田県においては、「アルミ+樹脂複合窓」が多く採用されている状況ではありますが、住まい(家)の「高断熱・高気密」性能を追求した住まいにおいては「オール樹脂製窓」に「高断熱複層ガラス」を組込んだ窓(熱貫流率=2.33W/㎡K)以上の性能が求められます。

足利建築の施工いたします窓においても、全ての窓が「2.33W/㎡K」以上の性能を有する窓を標準仕様としております。

3-各国の窓に求められている性能(窓の熱貫流率)

国  名(地名等)
窓に求められている性能(熱貫流率)
アメリカ(ニューヨーク) 1.98W/㎡K(法規制あり)
イギリス(ロンドン) 2.0W/㎡K(法規制あり)
 中国(北    京)  2.0W/㎡K(法規制あり)
 日本(北海道)  2.33W/㎡K(法規制なし)
日本(東   京) 4.65W/㎡K(法規制なし)

上記表は、各国の窓に対して求められている性能を「熱貫流率」にて表したものになりますが、何よりも足利建築が気になるのは日本以外の各国には法律などによる規制があるのに対し、日本では法律による規制がない事実です。

窓(サッシ)等 開口部は、住まい(家)全体の大きさに換算するととても大きな熱の損失がある場所でもありますので、住まいの壁や床、天井部分の断熱性能だけではなく、窓の断熱性能に関してもバランスを考えた選択をすることが望ましいと考えられます。

「高気密・高効率換気・高断熱・オール電化」という言葉だけでは、正確な住まい(家)の性能を示すことは出来ません。

建築される住まい(家)の間取り等が完成した後は、性能を数値化することによって、より確実な住まいを建築することが出来るようになりますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

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